私が生まれ育った京都には、鉄道博物館があります。

 

鉄道好きの生徒を連れて、何度も博物館に足を運びました。

ご想像の通り、博物館には数多くの列車が展示されています。

 

鉄道の歴史を見ると、１つの共通点に気付きます。

それは列車は最初はみんな各駅停車であること。

そこから徐々に発展し、急行や特急が生まれます。

 

考えてみたら当たり前ですね。

文字通り各駅停車とは、１駅ずつ停まる列車です。

 

ところであなたは、こんな言葉を聞いたことはおありですか？

 

「木では無く森を見よ」

 

すなわち、全体的な視野で物事を見る、ということですね。

確かにこの考え方は非常に重要です。

しかし、こんな声も聞こえてきます。

「最初から全体が分かっていたら苦労しないよ」

仰る通りです。最初から全体を見通せる人はいません。

それでも自己啓発書などを見ると、「ヘリコプターや鳥のように森全体を見渡せ」と書いてあります。

ただし、ヘリコプターを操縦するには"すでに上空を飛んだ経験"が必要です。

ましてや、私たちは完全に鳥になることは出来ません。

 

結論から申し上げると、最初は枝葉で良いのです。

鉄道も、最初は各駅列車から始まります。

各駅列車として栄えて初めて、鉄道会社は急行や特急を運行することが出来るのです。

 

では、各駅停車の特徴は何ですか？

それは、１駅１駅、確実に停まることです。

そして、決まった時刻に停まり、次の駅へ出発します。

 

上手な勉強にも全く同じ事が言えます。

１単元１単元、確実に学びます。

そして、決まった時間で学び、次の単元へ移ります。

 

0.000001%の天才を除き、

99％の人間はみな、最初は各駅停車です。

自分が停まっている駅（単元）で特急（周囲）に抜かれようが、今は関係ありません。

いつかはあなたも特急列車になるからです。

 

大事なのは、頭に"各駅"停車を走らせること。

 

考えてみてください。

最初から頭に"特急"列車を走らせると、どうなりますか？

まず、途中駅（単元）を見落とします。

また、先の駅に停車しても通過駅との繋がりが無いので、無駄に停車時間が長くなります。

さらに、どれだけの駅（単元）を通過できたかという"達成感"も少なくなります。

いわば、危険走行です。

いきなり難問ばかり解いたり、最初からいきなり応用に挑戦したりする方。

思い当たる節はありませんか？

 

一方、頭に"回送"電車を走らせると、どうなりますか？

まず、途中駅（単元）がおろそかになります。

また、どんな駅（単元）に停車しても停まった感覚が鈍いので、停車時間があやふやになります。

さらに、この先どれだけの駅（単元）があるかという"見通し"も甘くなります。

特急列車と同じ、危険走行です。

問題集をだらだら解くだけだったり、色んな問題集に目移りしたりする方。

思い当たる節はありませんか？

 

よって、結論は以下の通り。

木を１つ１つ丁寧に見て初めて、森全体を眺めることが出来る。

 

まずは頭に"各駅列車"を走らせましょう。

急がず丁寧に。じっくり確実に。

保護者の皆様。

どうか焦らずに、子供が頑張って各駅停車する様子を温かい目で応援しましょう。

生徒の皆さん。

どうか焦らずに、いま取り組んでいる１つの単元・分野を大切になさってください。

 

"キミシダイ列車"で、あなたは急行・特急どころか、"新幹線"になれます。

 

"Just hold on tight, It can be all right

We take it back 取り戻すのさ

過去の自分が今僕の土台となる"

キミシダイ列車/ONE OK ROCK

Text by 中西悠樹（代表）